建設業法では、帳簿の保存が義務付けられています。
しかし、どのような帳簿を用意すればいいのか、添付する書類はあるのかなど、詳細について知っている方は多くないのではないでしょうか。
そこで今回は、建設業法の帳簿の保存について簡単に解説します。
帳簿の保存について悩んでいる方は、ぜひご覧ください。
建設業者には帳簿の保存が義務付けられている
建設業法では、帳簿の保存が義務付けられています。
建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その営業所ごとに、その営業に関する事項で国土交通省令で定めるものを記載した帳簿を備え、かつ、当該帳簿及びその営業に関する図書で国土交通省令で定めるものを保存しなければならない。
建設業法第40条の3
営業所に帳簿が保存されていなければ建設業法違反となってしまいますし、5年間保存されていなかった場合も建設業法違反になってしまいます。
営業所ごとに帳簿を保存する必要があるので、注意が必要です。
帳簿に必要なもの
帳簿といっても、記載事項や添付書類がわからなければ、用意のしようがありません。
ここからは、帳簿の記載事項や添付書類を、国土交通省発行の建設業法法令遵守ガイドラインを参照して確認していきます。
帳簿の記載事項
帳簿には、営業所の代表者の氏名や、請負契約・下請契約に関する事項を記載する必要があります。
具体的には、以下の事項を記載します。
- 営業所の代表者の氏名及びその者が営業所の代表者となった年月日
- 請け負った建設工事の名称及び工事現場の所在地
- 注文者と請負契約を締結した年月日
- 注文者の商号・名称(氏名)、住所、許可番号
- 請け負った建設工事の完成を確認するための検査が完了した年月日
- 工事目的物を注文者に引渡した年月日
- 発注者(宅地建物取引業者を除く。)と締結した住宅を新築する建設工事の
- 当該住宅の床面積
- 建設瑕疵負担割合(発注者と複数の建設業者の間で請負契約が締結された場合)
- 住宅瑕疵担保責任保険法人の名称(資力確保措置を保険により行った場合)
- 下請負人と締結した建設工事の下請契約に関する事項
- 下請負人に請け負わせた建設工事の名称及び工事現場の所在地
- 下請負人と下請契約を締結した年月日
- 下請負人の商号・名称、住所、許可番号
- 下請負人に請け負わせた建設工事の完成を確認するための検査を完了した年月日
- 下請工事の目的物について下請負人から引渡しを受けた年月日
特定建設業者が注文者となって資本金 4,000 万円未満の法人又は個人である一般建設業者と下請契約を締結したときは、上記の記載事項に加え、以下の事項
- 支払った下請代金の額、支払年月日及び支払手段
- 支払手形を交付したとき…その手形の金額、交付年月日及び手形の満期
- 下請代金の一部を支払ったとき…その後の下請代金の残額
- 遅延利息を支払ったとき…その額及び支払年月日
また、帳簿は電磁的記録によることも可能です。
帳簿の添付書類
帳簿には、契約書またはその写しまたはその電磁的記録を添付する必要があります。
契約書は破棄せずに保管しておくことが無難です。
さらに、場合によっては追加で添付書類が発生するため、注意が必要です。
特定建設業者が注文者となって資本金 4,000 万円未満の法人又は個人である一般建設業者と下請契約を締結した場合
- 下請負人に支払った下請代金の額、支払年月日及び支払手段を証明する書類(領収書等)又はその写し
自社が、発注者から直接請け負った建設工事について、公共工事にあっては下請契約を締結した場合、それ以外の建設工事にあっては下請契約の総額が4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円。)以上となる場合は、工事完成後(建設業法施行規則第26条第3項)に施工体制台帳のうち以下に掲げる事項が記載された部分を添付
- 自社が実際に工事現場に置いた主任技術者又は監理技術者の氏名及びその有する主任技術者資格又は監理技術者資格
- 自社が主任技術者又は監理技術者以外に専門技術者を置いたときは、その者の氏名、その者が管理をつかさどる建設工事の内容及びその有する主任技術者資格
- 下請負人の商号又は名称及び許可番号
- 下請負人に請け負わせた建設工事の内容及び工期
- 下請負人が実際に工事現場に置いた主任技術者の氏名及びその有する主任技術者資格
- 下請負人が主任技術者以外に専門技術者を置いたときは、その者の氏名、その者が管理をつかさどる建設工事の内容及びその有する主任技術者資格
帳簿の添付書類も、電磁的記録によることができます。
発注者から直接工事を請け負った場合(元請業者の場合)
発注者から直接建設工事を請け負った場合は、営業所ごとに、営業に関する図書を10年間保存することが必要です。
営業に関する図書とは、以下のようなものです。
- 完成図(建設業者が作成した場合又は発注者から受領した場合のみ。)
- 工事内容に関する発注者との打ち合わせ記録(相互に交付したものに限る。)
- 施工体系図(法令上施工体系図の作成が義務付けられている場合のみ(公共工事にあっては下請契約を締結した場合、それ以外の建設工事にあっては下請契約の総額が4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上となる場合)。)
営業に関する図書も、電磁的記録によることが可能です。
参考:建設業法令遵守ガイドライン 国土交通省不動産・建設経済局建設業課
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、建設業法の帳簿の保存について簡単に解説しました。
帳簿の保存は、トラブルが発生した時の対応策にもなります。
適切に帳簿を備えておきましょう。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
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