建設業の赤伝処理とは?建設業法違反に該当する?注意点も紹介


建設業界には、「赤伝処理」という用語があります。

赤伝処理自体は禁止されていることではありませんが、取り扱いに注意する必要があります。

また、そもそも赤伝処理とは何なのでしょうか。

そこで今回は、赤伝処理の概要、赤伝処理をする際の注意点について解説します

赤伝処理について知りたい方は、ぜひご覧ください。

赤伝処理とは

赤伝処理とは、元請業者が、下請代金から工事の施工にかかった諸費用を差引いて下請業者に支払う処理のことです。

国土交通省が発行している建設業法法令遵守ガイドラインによると、赤伝処理の際に使われる費用として、以下の4つが挙げられています。

  1. 元請業者が一方的に提供・貸与した安全衛生保護具等の費用
  2. 下請代金の支払に関して発生する諸費用(下請代金の振り込み手数料等)
  3. 下請工事の施工に伴い、副次的に発生する建設副産物の運搬処理費用
  4. 上記以外の諸費用(駐車場代、弁当ごみ等のごみ処理費用、安全協力会費並びに建設キャリアアップシステムに係るカードリーダー設置費用及び現場利用料等)

下請代金と以上に挙げられている費用を相殺する行為と考えればわかりやすいと思います。

赤伝処理が直ちに違反事項になるわけではない

適正な手続きに基づいて行われた赤伝処理は、建設業法違反に当たりません。

適正な手続きの例として、赤伝処理を行う場合は、その内容を工事の見積条件・契約書面に明示するということが挙げられます。

たとえば、元請業者が貸与した用具の費用を下請代金から差引いて支払処理を行う場合は、内容や差引の算定額の根拠などを明確に示す必要があります。

赤伝処理の内容や根拠を見積条件に明示しなかった場合は、建設業法第20条4項に違反してしまいます。

建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとの材料費、労務費その他の経費の内訳並びに工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならない。

4 建設工事の注文者は、請負契約の方法が随意契約による場合にあつては契約を締結するまでに、入札の方法により競争に付する場合にあつては入札を行うまでに、第十九条第一項第一号及び第三号から第十六号までに掲げる事項について、できる限り具体的な内容を提示し、かつ、当該提示から当該契約の締結又は入札までに、建設業者が当該建設工事の見積りをするために必要な政令で定める一定の期間を設けなければならない。

建設業法第20条4項

また、これと同様に、赤伝処理の内容や根拠を契約書面に明示しなかった場合は、建設業法第19条に違反します。

さらに、赤伝処理によって下請代金の金額が「通常必要と認められる原価」を下回る場合には、建設業法の「不当に低い請負代金の禁止」に違反するおそれがあります。

不当に低い請負代金の禁止についてはコチラの記事をご覧ください

赤伝処理自体が直ちに違法となるわけではありませんが、処理を行う際には様々なことに留意する必要があるのです。

赤伝処理を行う場合は合意をとりつける

赤伝処理を行うときには、内容や差引の算定額の根拠に、元請業者と下請業者が双方合意していることが必要です。

元請業者が、下請業者の合意なく赤伝処理を行った場合は、建設業法第18条に違反することとなり、さらに建設業法第28条第1項第2号の「請負契約に関する不誠実な行為」に該当するおそれがあります。

建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従つて誠実にこれを履行しなければならない。

建設業法第18条

合意を取り付けようとしても、協議が難航してなかなか前に進まないこともあるでしょう。

しかしそれでも、赤伝処理には合意が不可欠ということを認識しておくことが大切です。

合意した事項は、後で紛争になることを避けるためにも、書面で残しておくことが推奨されています。

参考:建設業法令遵守ガイドライン 国土交通省不動産・建設経済局建設業課

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、赤伝処理の概要、赤伝処理をする際の注意点について簡単に解説しました。

赤伝処理は違法ではありませんが、注意しておくべき事項が多数あります。

知らず知らずのうちに法違反をしていたなんてことがないよう、知識はつけておきたいですね。

ここまでお読みいただきありがとうございました!

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