有価物とは?廃棄物との違いは?


廃棄物に対するものとして挙げられるのが「有価物」です。

有価物とは、読んで字のごとく価値のあるものを指します。

廃棄物は価値のないゴミという意味ですので、廃棄物とは対になるものです。

廃棄物関係の仕事をしている方であれば、廃棄物なのか有価物なのか判断に迷うときがあるのではないでしょうか。

今回は有価物について簡単に解説します!

有価物とは?

有価物を判断する基準

有価物は、廃棄物に対して設定された、いわば「価値のあるもの」です。

廃棄物の処理については、廃棄物処理法で厳しい規制が課されています。しかし、まれに「これは有価物だから廃棄物処理法の対象外だ」と主張し、法をくぐりぬけようとする事業者がいます。

このような脱法行為を見逃さないために、有価物の判断方法・基準が環境省の通達により示されています。

ア 物の性状
利用用途に要求される品質を満足し、かつ飛散、流出、悪臭の発生等の生活環境の保全上の支障が発生するおそれのないものであること。実際の判断に当たっては、生活環境の保全に係る関連基準(例えば土壌の汚染に係る環境基準等)を満足すること、その性状についてJIS規格等の一般に認められている客観的な基準が存在する場合はこれに適合していること、十分な品質管理がなされていること等の確認が必要であること。


イ 排出の状況
排出が需要に沿った計画的なものであり、排出前や排出時に適切な保管や品質管理がなされていること。


ウ 通常の取扱い形態
製品としての市場が形成されており、廃棄物として処理されている事例が通常は認められないこと。


エ 取引価値の有無
占有者と取引の相手方の間で有償譲渡がなされており、なおかつ客観的に見て当該取引に経済的合理性があること。実際の判断に当たっては、名目を問わず処理料金に相当する金品の受領がないこと、当該譲渡価格が競合する製品や運送費等の諸経費を勘案しても双方にとって営利活動として合理的な額であること、当該有償譲渡の相手方以外の者に対する有償譲渡の実績があること等の確認が必要であること。


オ 占有者の意思
客観的要素から社会通念上合理的に認定し得る占有者の意思として、適切に利用し若しくは他人に有償譲渡する意思が認められること、又は放置若しくは処分の意思が認められないこと。したがって、単に占有者おいて自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができるものであると認識しているか否かは廃棄物に該当するか否かを判断する際の決定的な要素となるものではなく、上記アからエまでの各種判断要素の基準に照らし、適切な利用を行おうとする意思があるとは判断されない場合、又は主として廃棄物の脱法的な処理を目的としたものと判断される場合には、占有者の主張する意思の内容によらず、廃棄物に該当するものと判断されること。

行政処分の指針について(通知)環循規発第 2104141 号
令 和 3 年 4 月 1 4 日

以上のア~オの基準は総合判断説といわれており、有価物を判断するときの通説になっています。

順番に解説しましょう。

ア 物の性状

かみ砕いていうと、まだ物が使える状態であるか?ということです。

たとえば、ページが裁断されたうえ、ビリビリに破かれて文字も読めなくなっている本は、もはや本として読めません。

物の利用目的を果たせなくなっていれば、廃棄物とみなされる可能性が高いです。

イ 排出の状況

上記の本の例でいえば、ちゃんと保管しているか?ということになります。

本としての体裁を保っていても、屋外に野ざらしで放置している状態は、適切な保管や品質管理とはいえません。屋内で、最低限再び読めるように保管されているかどうかがポイントになりそうです。

ウ 通常の取扱い形態

物が通常、取引されるマーケットが存在するか?ということです。

本の例を考えましょう。古本屋に代表されるように、読まなくなった本を取引する市場は十分に存在します。ですので、ここでも有価物の条件を満たしそうです。

エ 取引価値の有無

物を介してお金を受け渡しをすることに合理性があるのか?ということです。

先述したように、読まなくなった本は古本屋に売られたり、ネット上のフリマアプリなどで取引されたりしています。取引価値があるといえそうです。アで例に挙げた、ビリビリに破かれた本は通常、売買の対象となりえないでしょう。

オ 占有者の意思

有価物を持つ人自身の意思のことです。

たとえば、読まなくなった本を持つ人が「これは有価物だ!古本屋に売ろう!」と思っていれば、その本は有価物です。

ここで注意したいのが、あくまで「社会通念上合理的に認定し得る」意思でなければならないという点です。ビリビリに破かれて読めなくなった本を、「これは有価物だ!古本屋に売ろう!」と思っていても、客観的にみて合理的とはいえません。この場合は、その人の意思によらず、廃棄物と認定されます。

判断に迷ったら行政に確認を

ここまで、有価物の総合判断説について解説してきました。

総合判断説に基づいて判断を下すことももちろん大切ですが、実際の判断は行政によります。有価物か廃棄物かの判断は、特に個別具体的になりやすいです。

安易に判断をするのではなく、慎重を期して行政に相談することも必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は有価物の概念・判断方法について解説しました。

総合判断説はとっつきにくい部分もあるかと思いますが、一度読んでしまえば忘れにくいです。

なんとなく判断方法を知っておくだけでも、行政との話し合いに活きることがあるため、一読しておくことをおすすめします!

ここまでお読みいただきありがとうございました!

行政書士岸そうま事務所では、新潟県内の産業廃棄物収集運搬業許可を承っております。

お気軽にお問い合わせください!

土日祝日の面談も対応いたします。(要ご予約)0258-86-7209受付時間 平日9:00-18:00

お問い合わせ

PAGE TOP