産業廃棄物処理業の委託契約とは?記載事項は法律で決まっている?


産業廃棄物処理業において大切なのが、産業廃棄物処理委託契約。

産業廃棄物処理の委託契約締結は、法律にも記載があるほど重要な事項です。

「法律で記載事項が決まっているって聞いたけど…」
「締結するときに気を付けることはあるのかな?」

こんな風に思っている方も多いと思います。

そこで今回は、産業廃棄物処理業の委託契約について簡単に解説します!

排出事業者が他者に委託するときに必要

産業廃棄物を排出する事業者は、産業廃棄物収集運搬業許可を取得していない限り、産業廃棄物を自ら運ぶことができません

かといって、産業廃棄物を現場に放置しておくわけにもいきません。

そんな時に必要になるのが、産業廃棄物処理の委託契約です。

この委託契約の締結は、法律で義務として説明されています。

事業者は、前項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律第12条第6項

自分で産業廃棄物の処理をしないのなら、適切な事業者に処理を委託することが定められています。

ちなみに、産業廃棄物は排出事業者が自ら処理するのが原則です。

事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律第3条

あくまでも、委託契約は例外的な措置であることを念頭に置いておきましょう。

記載事項が法律で決められている

事業者と委託契約を締結するときには、契約書を交わします。

適当に契約書を作ってよいのかといえばそんなことはなく、盛り込むべき内容が法律によって決められています

委託契約は、書面により行い、当該委託契約書には、次に掲げる事項についての条項が含まれ、かつ、環境省令で定める書面が添付されていること。

 委託する産業廃棄物の種類及び数量

 産業廃棄物の運搬を委託するときは、運搬の最終目的地の所在地

 産業廃棄物の処分又は再生を委託するときは、その処分又は再生の場所の所在地、その処分又は再生の方法及びその処分又は再生に係る施設の処理能力

 産業廃棄物の処分又は再生を委託する場合において、当該産業廃棄物が法第十五条の四の五第一項の許可を受けて輸入された廃棄物であるときは、その旨

 産業廃棄物の処分(最終処分(法第十二条第五項に規定する最終処分をいう。以下同じ。)を除く。)を委託するときは、当該産業廃棄物に係る最終処分の場所の所在地、最終処分の方法及び最終処分に係る施設の処理能力

 その他環境省令で定める事項

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第6条の2第4項

令第六条の二第四号ヘ(令第六条の十二第四号の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の環境省令で定める事項は、次のとおりとする。

 委託契約の有効期間

 委託者が受託者に支払う料金

 受託者が産業廃棄物収集運搬業又は産業廃棄物処分業の許可を受けた者である場合には、その事業の範囲

 産業廃棄物の運搬に係る委託契約にあつては、受託者が当該委託契約に係る産業廃棄物の積替え又は保管を行う場合には、当該積替え又は保管を行う場所の所在地並びに当該場所において保管できる産業廃棄物の種類及び当該場所に係る積替えのための保管上限

 前号の場合において、当該委託契約に係る産業廃棄物が安定型産業廃棄物であるときは、当該積替え又は保管を行う場所において他の廃棄物と混合することの許否等に関する事項

 委託者の有する委託した産業廃棄物の適正な処理のために必要な次に掲げる事項に関する情報

 当該産業廃棄物の性状及び荷姿に関する事項

 通常の保管状況の下での腐敗、揮発等当該産業廃棄物の性状の変化に関する事項

 他の廃棄物との混合等により生ずる支障に関する事項

 当該産業廃棄物が次に掲げる産業廃棄物であつて、日本産業規格C〇九五〇号に規定する含有マークが付されたものである場合には、当該含有マークの表示に関する事項

(1) 廃パーソナルコンピュータ

(2) 廃ユニット形エアコンディショナー

(3) 廃テレビジョン受信機

(4) 廃電子レンジ

(5) 廃衣類乾燥機

(6) 廃電気冷蔵庫

(7) 廃電気洗濯機

 委託する産業廃棄物に石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等が含まれる場合は、その旨

 その他当該産業廃棄物を取り扱う際に注意すべき事項

 委託契約の有効期間中に当該産業廃棄物に係る前号の情報に変更があつた場合の当該情報の伝達方法に関する事項

 受託業務終了時の受託者の委託者への報告に関する事項

 委託契約を解除した場合の処理されない産業廃棄物の取扱いに関する事項

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第八条の四の二

かなり多くの内容が盛り込まれていることがわかります。

ここで挙げた事項のほかにも、場合によっては記載が必要な事項がありますので、契約書は慎重に作成しましょう。

産廃業許可を統轄する行政庁(県庁や、市役所など)に電話で問い合わせてみるのもよいでしょう

委託契約には5つの大原則がある

産廃処理の委託契約締結には、5つの大原則があります。

1.二者間で契約締結する

産業廃棄物を排出する事業者と、処理する事業者の二者間で契約を結ばなければなりません

処理業者が、産廃収集運搬業許可と産廃処分業許可の2つの許可を取得していれば、その処理業者だけで完結するので問題はありません。

問題が発生しがちなのは、排出業者と収集運搬業者と処分業者がそれぞれ分かれている場合です。

このとき、排出事業者は、収集運搬業者、処分業者の二者と、それぞれ契約を締結しなければなりません。

収集運搬業者と契約を締結するだけでは不十分な場合があるので、十分注意する必要があります。

2.書面で契約締結する

産廃処理の委託契約は、口頭での契約が認められていません。しっかり書面に書き残しておきましょう!

3.法定された必要項目を記載する

先述しましたが、委託契約書に盛り込むべき内容は法定されています。過不足なく、契約書に記載しましょう。

4.契約書に許可証の写しを添付する

契約書には、処理業者が取得した産廃収集運搬業許可の写しや、産廃処分業の写しを添付する必要があります

ちゃんと許可を取得した業者なのか、確認しておきましょう。

5.契約書は契約終了日から5年間保存する

排出事業者は、契約の終わった日から5年間、契約書と添付書類を保管しなければなりません

契約が終わった後、事務所類と手を切りたくなる気持ちになりますが、ぐっとこらえて適切に保管しておきましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は産業廃棄物処理の委託契約について簡単に解説しました。

委託契約は、意外にも決まりごとが多いのが特徴です。

よくわからないから適当に済ませる、ではなくひとつひとつ確認しながら契約を進めるのが大切です!

ここまでお読みいただきありがとうございました!

行政書士岸そうま事務所では、新潟県内の産業廃棄物収集運搬業許可を承っております。

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