建設業法で定められている見積期間の提示とは?短すぎるとNG?


建設工事を行う際にかならず踏むステップとして、工事にかかる金額を算出する見積りが挙げられます。

普段、何気なく見積りを行っている方は多いでしょう。

しかし、実は見積りについて建設業法で定められている部分がいくつかあります。

そこで今回は、建設業法のなかの見積りについて言及している箇所を解説していきます。

また、国土交通省の資料も随時参照しながら解説を進めていきましょう。

元請業者は具体的内容を提示する

まず、元請業者が下請業者と契約を交わすときには、契約を締結するまでに具体的な内容や重要な事項を下請業者に通知しておく必要があります

建設工事の注文者は、請負契約の方法が随意契約による場合にあつては契約を締結するまでに、入札の方法により競争に付する場合にあつては入札を行うまでに、第十九条第一項第一号及び第三号から第十六号までに掲げる事項について、できる限り具体的な内容を提示し、かつ、当該提示から当該契約の締結又は入札までに、建設業者が当該建設工事の見積りをするために必要な政令で定める一定の期間を設けなければならない。

建設業法第20条第4項

工事内容が不明確なままでは、下請業者は適切な見積りを出すことが困難です。

国土交通省が発行している建設業法令遵守ガイドラインでは、以下のような事例が建設業法違反になりうると紹介されています。

  • 元請業者が不明確な工事内容の提示等、曖昧な見積条件により下請業者に見積りを行わせた場合
  • 元請業者が下請業者から工事内容等の見積条件に関する質問を受けた際、元請業者が、未回答あるいは曖昧な回答をした場合
  • 元請業者が、「出来るだけ早く」等曖昧な見積期間を設定したり、見積期間を設定せずに、下請業者に見積りを行わせた場合

では、具体的にどのような内容を提示すれば建設業法違反を免れるのでしょうか。

こちらも同じく建設業法令遵守ガイドラインに記載があるため、引用して確認してみましょう。

  1. 工事名称
  2. 施工場所
  3. 設計図書(数量等を含む)
  4. 下請工事の責任施工範囲
  5. 下請工事の工程及び下請工事を含む工事の全体工程
  6. 見積条件及び他工種との関係部位、特殊部分に関する事項
  7. 施工環境、施工制約に関する事項
  8. 材料費、労働災害防止対策、建設副産物(建設発生土等の再生資源及び産業廃棄物)の運搬及び処理に係る元請下請間の費用負担区分に関する事項

以上が、最低限明示すべき事項として挙げられています。

また、これ以外にも、工事の見積りに必要と思われる事項があれば、その事項も明示する必要があります。

そして、見積り依頼時点で具体的な内容が確定していない事項については、元請業者はその旨を下請業者に伝えておかなければなりません

さらに、元請業者は、工事で以下の事項が発生するおそれがあることを知っているときは、下請業者に対して必要な情報を提供しなければなりません。

  • 地盤の沈下、地下埋設物による土壌の汚染その他の地中の状態に起因する事象
  • 騒音、振動その他の周辺の環境に配慮が必要な事象

価格に応じた見積期間の設定を

見積りを依頼する時には、適切な見積期間を設定する必要があります

短すぎる見積期間は、下請業者に多大な負担をかけ、適切な見積りの算出を阻害する可能性があります。

建設業法施行令第6条に、工事の価格による見積期間が定められているので、確認しておきましょう。

法第二十条第四項に規定する見積期間は、次に掲げるとおりとする。ただし、やむを得ない事情があるときは、第二号及び第三号の期間は、五日以内に限り短縮することができる。
一 工事一件の予定価格が五百万円に満たない工事については、一日以上
二 工事一件の予定価格が五百万円以上五千万円に満たない工事については、十日以上
三 工事一件の予定価格が五千万円以上の工事については、十五日以上

建設業法施行令第6条

たとえば、予定価格が800万円の工事の見積りを、「明日までに見積りを出してくれ」と依頼すると、建設業法違反になります。

また、上記の期間はあくまで最短期間です。

実際には、上記の期間よりも長く、十分な見積期間を設けることが望ましいです。

さらに、追加工事が必要になった場合でも、上記の規定は適用されます

「追加工事だから見積期間は短くしていいだろう」と考えず、余裕を持った期間設定をすることが大切です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、建設工事の見積り周辺の規定について解説しました。

見積りは、建設工事の基礎ともいえる過程です。

法令を遵守し、適切な見積り期間の設定に努めましょう!

ここまでお読みいただきありがとうございました!

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