建設業許可の施工体制台帳とは?どんな工事でも作成義務がある?


「施工体制台帳の作成が義務って聞いたけど、ほんと?」

「そもそも施工体制台帳って何?」

このようなお悩みを持つ建設業者の方もおられるのではないでしょうか?

施工体制台帳は、滞りなく工事を施工するにあたって重要な役割を果たします。

ただ、発注者・元請業者・下請業者のうち誰が施工体制台帳を作成するのか、何を記載すればいいのかなど、複雑な点が多くあります。

そこで今回は、施工体制台帳について簡単に解説します!

施工体制台帳とは

施工体制台帳とは、工事を請け負う業者名や各業者の施行範囲、各業者の技術者氏名などを記載した台帳のことです。

元請業者に現場の施工体制を把握させることが、施工体制台帳作成の目的です。

施工体制台帳を作成することで、

  1. 品質・工程・安全などの施工上のトラブルの発生
  2. 不良・不適格業者の参入、一括下請負などの建設業法違反
  3. 生産効率の低下につながる安易な重層下請

の3点を防止することができます。

施工体制台帳の作成が義務付けられるのは、元請業者です

下請業者は基本的に施工体制台帳を作成する必要はありませんが、元請業者に施工体制台帳作成義務がある工事を請け負う際には、後述する再下請負通知書を作成し、元請業者に送付する必要があります。

元請業者が施工体制台帳を作成しなければならないケースは、大きく分けて2つあります。

1つ目のケースは、下請金額が4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上の場合です。

この時、元請業者は特定建設業許可を取得している必要があります。

一般建設業許可と特定建設業許可の違いについては、以下の記事をご覧ください。

この時の下請金額とは、建設工事の請負金額を指します。

たとえば、資材の納入、現場調査などにかかった金額は、下請金額に含まれません。

2つ目のケースは、公共工事を受注する場合です。

公共工事を施工する場合は、入札適正化法の規定により、施工体制台帳を作成しなければなりません。

公共工事のケースは、下請金額は関係ないので、注意が必要です。

さらに、受注者は施工体制台帳の写しを発注者に提出しなければならず、発注者から現場の施工体制が施工体制台帳の記載と合致しているかの点検を求められたときは、これを拒んではならないとされています。

2 公共工事の受注者は、作成した施工体制台帳の写しを発注者に提出しなければならない。この場合においては、同条第三項の規定は、適用しない。
3 前項の公共工事の受注者は、発注者から、公共工事の施工の技術上の管理をつかさどる者の設置の状況その他の工事現場の施工体制が施工体制台帳の記載に合致しているかどうかの点検を求められたときは、これを受けることを拒んではならない。

公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第15条

参考:施工体制台帳等の記載ガイドライン さいたま市建設局技術管理課
   施工体制台帳とは 国土交通省

下請業者は再下請負通知書の作成が必要

施工体制台帳の作成を求められるのは、元請業者です。

では、下請業者は何もしなくてよいのかというと、実はそうではありません。

施工体制台帳を作成する工事を請け負った下請業者は、再下請負通知書という書類を作成する必要があります

施工体制台帳作成対象工事を請け負わせるときには、元請業者は「この工事は施工体制台帳を作成する工事であるため、再下請負通知書の作成及び提出をお願いします」といった旨の通知を下請業者に発出する必要があります。

下請業者がさらに工事を下請に出す場合も、二次下請業者に同様の通知を発出しなければなりません。

施工体制台帳の記載事項と添付書類

では、施工体制台帳には何を記載すればよいのでしょうか?

国土交通省の資料を参照し、まとめてみました。

元請業者が施工体制台帳に記載しなければならない内容は、以下の通りです。

記載内容

  • 元請負人に関する事項
  • 発注者から請負った工事内容
  • 建設業許可の内容
  • 健康保険等の加入状況
  • 配置技術者の氏名と資格内容
  • 外国人技能実習生及び外国人建設就労者の従事状況
  • 一次下請負人に関する事項
  • 下請契約した工事の内容
  • 施工に必要な建設業許可業種
  • 健康保険等の加入状況
  • 配置技術者の氏名と資格内容
  • 外国人技能実習生及び外国人建設就労者の従事状況

また、施工体制台帳には必要な書類を添付しなければなりません。

元請業者に求められる添付書類は、以下の通りです。

添付書類

  • 発注者との契約書の写し
  • 下請負人との契約書の写し(注文・請書及び基本契約書又は基本契約約款等の写し)
  • 配置技術者(監理技術者等)が資格を有することを証する書面(専任を要する監理技術者の場合、監理技術者証の写しに限る)
  • 専門技術者等を置いた場合は資格を証明できるものの写し(国家資格等の技術検定合格証明等の写し)
  • 配置技術者(監理技術者等)の雇用関係を証明できるものの写し(健康保険証等の写し)

施工体制台帳作成対象工事を請け負う際には、下請業者も再下請負通知書を作成する必要があると先述しました。

再下請負通知書も、以下の通り、記載内容と添付書類が定められています。

記載内容

  • 一次下請負人に関する事項
  • 下請契約した工事の内容
  • 施工に必要な建設業許可業種
  • 健康保険等の加入状況
  • 配置技術者の氏名と資格内容
  • 外国人技能実習生及び外国人建設就労者の従事状況
  • 再下請負人に関する事項
  • 下請契約した工事の内容
  • 施工に必要な建設業許可業種
  • 健康保険等の加入状況
  • 配置技術者の氏名と資格内容
  • 外国人技能実習生及び外国人建設就労者の従事状況

添付書類

  • 再下請負人との契約書の写し(注文・請書及び基本契約書又は基本契約約款等の写し)

記載内容の漏れや、添付書類の添付し忘れがないよう、注意しておきましょう!

参考:施工体制台帳の記載内容と添付書類 国土交通省

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は施工体制台帳について簡単に解説しました。

施工体制台帳の適切な作成は、発注者から信頼を得ることができたり、現場を適正に管理できたりと、大きなメリットがあります。

しっかりと施工体制台帳を作成し、トラブルの発生を未然に防止しましょう!

ここまでお読みいただきありがとうございました!

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