建設業法における著しく短い工期とは?工期が変更になった時はどうする?


「元請業者から短めに工期を設定してくれって言われたんだけど…」

「工期が変更になったんだけど、何かすることはある?」

このようなお悩みをお持ちの方はいないでしょうか。

建設業の現場では、工期に基づいて作業が進められます。

定められた工期をもとにスケジュールを組むため、現場において工期がどれくらいかというのは大きな関心ごとです。

ただ、工期をめぐる問題が起こった時、どのように対処すればよいかは意外と知られていません。

そこで今回は、建設業法に定められた工期に関する事項を簡単に解説します!

著しく短い工期とは

まず、著しく短い工期を設定した請負契約を締結することは、建設業法で禁止されています

注文者は、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならない。

建設業法第19条の5

長時間労働を前提とした短い工期の設定は、注文者と請負人双方に悪影響を及ぼします。

短い工期に間に合わせるために、手抜き工事が行われる可能性もあります。

また、工期に間に合わせなければならないという焦りから、事故が発生するリスクも上昇してしまいます。

こうした悪影響を防ぐために、建設業法では著しく短い工期を禁止しているのですね。

「通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間」とは

では、具体的にどの程度の工期が著しく短い工期にあたるのでしょうか。

条文中に、「通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間」という文言があります。

国土交通省が発行している建設業法令遵守ガイドラインによると、通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間とは、ただ短い期間というだけではなく、令和2年に中央建設業審議会が決定した工期に関する基準などに照らして、不適正に設定された工期のことをいうとされています。

工期に関する基準を参照してみると、工期は自然要因や法定外労働時間、制約条件などを加味して決定することが勧められています。

つまり、著しく短い工期にあたるかどうかの判断について統一された基準はありません

個々の状況を踏まえたうえで、個別具体的に判断しなければならないということになります。

工期が変更になった時の対応

工期が変更になった時には、契約の変更が必要になります

ここからは、工期変更の際の契約変更で気を付けるべきことについてご紹介します。

工期変更に係る工事の着工前に書面による契約変更をする

まず、工期の変更により当初の契約の内容を変更するときは、工期変更にかかる工事の着工前にその変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければなりません

建設工事の契約は、原則として着工前に書面で行います。

建設工事の契約で注意することについてはコチラの記事をご覧ください。

この原則は、工期変更による契約変更の際にも例外ではありません。

ただし、着工した後に工期が変更になってしまう場合もあると思います。

その場合は、変更後の工期が確定した時点で遅滞なく契約変更を行うこととされています。

工期変更で増加した費用は基本的に元請業者が負担する

工期が変更になった場合、それに伴って工事の費用が増加することも考えられます。

この場合、元請業者と下請業者どちらが費用を負担するのでしょうか。

結論からいうと、工期の変更で増加した費用は基本的に元請業者が負担することになります。

ただし、下請業者の責任で工期が変更になったと認められる時は、下請業者が費用を負担する可能性があります

また、元請業者が、自己の取引上の優位性を利用して、下請業者に増加した費用を負担させた場合、建設業法違反になるおそれがあります。

元請業者と下請業者、双方の協議のもと、適切な費用負担を割り振ることが大切です。

参考:建設業法令遵守ガイドライン 国土交通省不動産・建設経済局建設業課
   工期に関する基準 中央建設業審議会決定

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、建設業法に定められた工期に関する事項を簡単に解説しました。

建設現場では、しばしば工期の変更が起こることと思います。

そんな時に、この記事で得た知識を活用していただければ幸いです。

ここまでお読みいただきありがとうございました!

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