建設工事の現場で最も重要視されるといっても過言ではないのが、工事にかかる請負代金です。
もちろん建設業もビジネスですので、価額について鋭い嗅覚をお持ちの方も多いでしょう。
ただ、請負代金について法律で規定があることは、あまり知られていないように思います。
そこで今回は、建設業法における不当に低い請負代金とは何か、簡単に解説します!
不当に低い請負代金とは
そもそも、不当に低い請負代金とは何なのでしょうか。
建設業法にはこのような条文があります。
注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。
建設業法第19条の3
元請業者と下請業者が契約を締結すると仮定するなら、「注文者」が元請業者ということになります。
具体的な例
では、具体的にどのような場合に不当に低い請負代金と判断されるのでしょうか。
たとえば、元請業者のAと下請業者のBが請負契約を締結したとします。
Bにとって、Aは大口の取引先であり、Aとの契約が途切れればBの経営は著しく不安定になってしまいます。
AはBの事情を知っており、立場を利用して、本来であれば1,000万円が妥当な契約を50万円で請負うよう、一方的にBに要請しました。
この時、Aの要請は「自己の取引上の地位の不当利用」にあたり、建設業法違反になる可能性が極めて高いです。
通常必要と認められる原価とは
建設業法第19条の3の条文中に、「通常必要と認められる原価に満たない場合」という文言があります。
この時基準となる「通常必要と認められる原価」とは、どれくらいの金額を指すのでしょうか。
結論からいうと、通常必要と認められる原価とは、工事の施工地域において、工事を施工するために一般的に必要と認められる価格のことをいいます。
たとえば、同じ日本でも、北海道と沖縄県では工事を施工するときの自然要因が大きく異なりますよね。
地域ごとに、その工事を施工するときの一般的な価格帯が形成されているでしょう。
その一般的な価格が、通常必要と認められる原価に該当します。
具体的には、下請業者の予算や下請業者による再下請先、資材業者等との取引状況、さらには地域の施工区域における同種工事の請負代金額の実例などを参照し、個別具体的に判断することになります。
参考:建設業法令遵守ガイドライン 国土交通省不動産・建設経済局建設業課
まとめ
いかがでしたか?
今回は建設業法の不当に低い請負代金について簡単に解説しました。
法律を知っておくことが、自分の身を守ることにもつながります。
不当な代金で契約を交わさないよう、知識は持っておきたいですね。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
行政書士岸そうま事務所では、新潟県内の建設業許可申請を承っております。
お気軽にお問い合わせください!
土日祝日の面談も対応いたします。(要ご予約)0258-86-7209受付時間 平日9:00-18:00
お問い合わせ