建設工事の現場では、工事のやり直しが発生することがあります。
もちろん、やり直しが起きないよう適切な施工に努めることが大切ではありますが、やむを得ずやり直さなければいけない状況もあるでしょう。
しかし、工事をやり直すに際して注意すべき点はあまり知られていないように思います。
そこで今回は、工事のやり直しをするときに気を付けるべきことについて簡単に解説します。
下請業者の責任の有無がポイント
工事のやり直しが発生した際に、まず考えるべきことは「下請業者に責任があるやり直しなのか?」ということです。
たとえば、下請業者が契約内容に適合しない工事を行ったため、やり直しを要請する時には、「下請業者に責任があるやり直し」となるでしょう。
また、下請業者が手抜き施工を行ったことが理由でやり直しが発生した時も同様です。
下請業者に責任があるか?ないか?という判断で、やり直し工事の費用を負担する業者が変わります。
ですので、工事のやり直しが発生した際には、まず「下請業者に責任があるか?」を考えることが重要です。
責任がない場合
まず、下請業者に責任がない場合を考えましょう。
手抜き施工もせず、元請業者との契約の内容に沿ったものを作り上げたにもかかわらず、元請業者が、工事のやり直しの費用を下請業者に負担させると、建設業法違反になるおそれがあります。
工事のやり直しによって、下請代金の額が「通常必要と認められる原価」に満たなくなる場合には、建設業法の「不当に低い請負代金の禁止」に違反するおそれがあるのです。
不当に低い請負代金の禁止についてはコチラの記事をご覧ください
「不当に低い請負代金の禁止」に該当しなくとも、工事のやり直しにより、元請業者が下請業者の利益を不当に害した場合には、建設業法の「請負契約に関する不誠実な行為」に該当する可能性があります。
国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が次の各号のいずれかに該当する場合又はこの法律の規定、入札契約適正化法第十五条第二項若しくは第三項の規定若しくは特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律第三条第六項、第四条第一項、第七条第二項、第八条第一項若しくは第二項若しくは第十条第一項の規定に違反した場合においては、当該建設業者に対して、必要な指示をすることができる。特定建設業者が第四十一条第二項又は第三項の規定による勧告に従わない場合において必要があると認めるときも、同様とする。
二 建設業者が請負契約に関し不誠実な行為をしたとき。
建設業法第28条第1項第2号
責任がある場合
では、どのような時に「下請業者に責任がある」といえるのでしょうか。
国土交通省が発行している建設業法法令遵守ガイドラインでは、このようにリストアップされています。
- 下請負人の施工が契約書面に明示された内容と異なる場合
- 下請負人の施工に瑕疵等がある場合
この場合に限られるため、下請業者に責任があると認められるのはかなり狭い範囲であることがわかります。
下請業者に責任がある場合に該当した時は、元請業者は工事の費用を負担することなく、下請業者にやり直しを要求することができます。
ただし、以下の場合は、元請業者が工事の費用を負担しないままやり直しを要求することは認められないとされています。
- 下請負人から施工内容等を明確にするよう求めがあったにもかかわらず、元請負人が正当な理由なく施工内容等を明確にせず、下請負人に継続して作業を行わせ、その後、下請工事の内容が契約内容と異なるとする場合
- 施工内容について下請負人が確認を求め、元請負人が了承した内容に基づき下請負人が施工したにもかかわらず、下請工事の内容が契約内容と異なるとする場合
いずれも、下請業者から工事の内容について確認を求めていたにもかかわらず、元請業者の不誠実な対応によって工事のやり直しが発生した場合です。
誠実にコミュニケーションをとっていれば、以上の状況に陥ることはないでしょう。
参考:建設業法令遵守ガイドライン 国土交通省不動産・建設経済局建設業課
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、工事のやり直しをするときに気を付けるべきことについて簡単に解説しました。
やり直しが発生しないよう施工することはもちろん、発生してしまった場合の対処法も考えておくと慌てずにすむでしょう。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
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